2020/08/01 11:30



カラフルな色紙で作られた花々が咲き誇る。
バレリーナたちが楽しそうに踊り、人々がコーヒーを飲みながら寛ぐ。

なにげない日常のシーンを切り取り、カラフルな色紙を貼り合わせて独自の世界観で表現するerikaintheislandさん。「絵で生きていくのは到底無理」と一度はあきらめたerikaさんが、再び絵の世界で生きていこうと決意し、貼り絵アートを始めたきっかけや将来の夢について話を伺いました。(文:24rhythmスタッフ マサコ)

<お知らせ>
働く女性の1日に寄り添うライフスタイルストア「24rhythm」のインスタグラムでは、毎月1日に、erikaintheislandさんの貼り絵アートとともに、Monthly Greetingsをお届けします。
Instagram:@24rhythm


●プロフィール
erikaintheislandさん
貼り絵作家・イラストレーター
名古屋生まれ。大学で建築・インテリアを専攻し、卒業後は工務店へ就職。その後、設計デザイン事務所で勤務する傍ら、イラストレーターとしての活動を開始し、2019年11月に独立。現在はフリーランスとして貼り絵作家・イラストレーターとして活動している。
ホームページ:https://intheisland.tumblr.com/
Instagram:@erika.intheisland

一度はあきらめかけた「絵」を生業にしようと決意するまで


―絵を描きはじめたのはいつ頃なのですか。

幼稚園から中学まで地元にあるお絵かき教室に通っていて、昔から絵を描くことが好きでした。美術系の大学進学を目指す人たちも通うような本格的な教室で、そこで水彩画、油絵、版画など、絵について一通りの技法を習いました。将来は、美術系に進みたいなという漠然とした気持ちは当時からありました。

―でも大学では、建築を専攻されたんですね。

はい。「絵で生きていくのは到底無理!」というイメージがあったんです。でも、描いたり、つくったりすることは変わらず好きだったので、自分の考えやアイディアを形にできるようなクリエイティブな仕事につきたいと考え、大学では建築学を専攻しました。

大学卒業後は工務店に就職して、新築の間取りプランニング、内装インテリアなどを提案する仕事をしていました。

―絵を仕事として描き始めるきっかけとなったのは何だったのでしょうか。

店舗デザインの会社に転職したとき、間取りやプランだけでなく、店のロゴやメニューデザインも手がけるチャンスに恵まれて、その時に「やっぱり、グラフィックや絵をもっとやりたい!」と思ったんです。

ちょうどその頃、パートナーに出会ったのですが、パートナーの仕事で海外に移住する可能性が高く、この先どこに住んでもできる仕事は何かと考えたときに、自分のやりたいイラストやデザインを生業にすればよいのではないかと、頭にふと浮かんだのです。

そこで、会社員として働きながら、フリーランスで作家活動もスタートさせて、徐々にシフトチェンジしていきました。イラストレーター・貼り絵作家の活動一本に絞ったのは、実は昨年の11月なんです。パートナーの仕事の関係で引っ越すことになり、私は仕事を辞めなければならなかったので、「このタイミングだ!」と思って。

年始にバカンスでパートナーの実家のあるニュージーランドにきたのですが、COVID-19の影響で帰国できなくなってしまい…。今は、ニュージーランドで活動を続けています。

―これまで、イラストの仕事はどのように広げてこられたのですか。

最初は正直、なにをどうしたらよいか全くわからなくて。業界の知り合いもいなくて、本当に知識ゼロからのスタートでした。

インターネットで調べてみると、みなさんポートフォリオや賞の実績などをお持ちで、それを使って営業しているのをみて。まずは実績をつけるために、さまざまなデザインコンペに応募してみました。


「日本ルクセンブルク国交樹立90周年記念 ルクセンブルクワイン・ラベルデザインコンテスト」で、特別賞を受賞したときの作品


そして、徐々に実績がついてきたときに、芸術家支援プラットフォームのmecelo(メセロ)さんからお声がけをいただいたので登録したり、イラストレーター通信に登録したり。ホームページを作って、今までの実績や作品を載せるようにしました。

今は自分のイラストをもっといろんな人に知ってもらいたいので、自分のオンラインショップや、minne、creemaでTシャツなどグッズの販売をしたり、名刺やショップカードのデザインを受けたりもしています。インスタグラム経由で直接オファーが来ることも多く、個人のお客様から、結婚式の引き出物として参列者に配る、オリジナルマグカップと小さい花の作品をつくりたいといったご依頼をいただいたこともありました。





大好きな絵本がきっかけで、オリジナルの作風が誕生


―貼り絵の制作をはじめたきっかけを教えてください。

独自性のあるスタイルを模索していたときに、昔から大好きだったエリックカールさんの『はらぺこあおむし』のような作品が作りたいと思い、貼り絵を始めました。当初は、絵の具で色を塗った紙をスキャンして取り込んで、PC上で色紙を切って貼り合わせてというように制作していたのですが、いまは、色紙をハサミで切って貼っていくアナログな手法で制作しています。その方が独特の味が出るんです。


これまで制作した作品の一部

作品に使う色紙は、薄めの画用紙にアクリルガッシュを塗って作っています。なくなってきたら大量に作って、さまざまなバリエーションの色紙をストックしておきます。その時の気分で、単色で塗ったり、塗った後に色鉛筆で模様を付けたり、クレヨンで絵を書いた後に水彩絵の具をはじかせて模様をつけたりと、子どもが落書きをする時のように色紙づくりも楽しんでやっています。


ストックしている色紙


―下書きやスケッチはされるのですか? 

スケッチはしないです。花などの比較的作りやすいものだったら撮った写真を見ながら、色紙を切ってそのままのり付けしてしまいます。複雑な形のときには、切った色紙をいったん紙の上に載せて位置を決めてからのり付けをしています。

制作時間は作品によって違うのですが、1日もかかりません。これを作ろうとひらめくと、集中して作ってしまうので、早い物だと1時間。途中まで作って、なんか違う!と、作り直しするときもあるので、気分によって変わります(笑)。


くるみ割り人形に出てくるバレリーナがABCのポーズを取っているポスター


ー作品のインスピレーションはどこから得ることが多いですか。

そうですね。散歩中に見た風景、もらったお花、立ち寄った本屋など、自分の日常や好きなものを記録として残しているイメージです。例えば、バレエの作品は自分のバレエの経験から作ったものです。

ニュージーランドに滞在している時は、訪れたカフェの作品を作ることも多いです。先日、作品をインスタグラムに載せたら、そのカフェから「その絵をくれないか?」と連絡がきて、近々渡しに行く予定なんですよ。


ニュージランドのカフェの貼り絵

―それは、素敵なエピソードですね。この仕事をしていて、楽しい時ややりがいを感じる瞬間はどんな時ですか。

絵を作っているときが、やっぱり一番楽しい時間です。ずっとやりたかったことだから、仕事という感覚がなくって。あと、お客様の手元に自分の作品が渡り、かわいい、よかった!などの声がもらえる時は、とてもうれしい瞬間です。やってて良かったなと感じます。最近は、雑誌のお仕事も少しずつ増えてきていて、自分の絵が掲載されているのを見るとうれしいですね。

―不安なときや落ち込んだ時はどうしていますか。

落ち込むこと、あるんですけど…言われてみて気づいたのですが、最近は落ち込むとかピンチに陥ることがないです(笑)。

イラストの仕事がしたいのに、思ように広がらない時に不安になることはあります。そういう時は、「ピンチがチャンス!」と気持ちを切り替えて、その不安をかき消すように自分を追い込みます。それでも不安な気持ちが残っている時は、友達と他愛のない会話を楽しんだり、お客様や友達からもらった応援メッセージを読み返したりすると、「大丈夫!」と思えるようになります。

ーこれから挑戦してみたい仕事や夢はありますか。

お菓子屋のパッケージデザインや子ども服、誌面の挿絵、サンクスレターなど、形に残るものを作ってみたいです。そして1番の夢は、いつかオリジナルストーリーの絵本を作りたいと思っています。まだ何も始めてはいないのですが、一つだけ考えているストーリーがあるんです。

―最後に、24rhythmの読者へのメッセージをいただけますか。

毎月みなさまに、イラストをお届けしますerikaintheislandです。
毎月送る月の始まり(季節)のイラストから、季節を感じて楽しんでいただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。